前回の記事では、
2つの証券会社の特定口座(源泉徴収あり)を合算した結果、
年間トータルで約34万円の利益となり、損益通算による還付はなかったことを確認しました。
今回はその続きとして、確定申告(総合課税)を選んだ場合にどうなるかを見ていきます。
@前回の振り返り
SBI証券と大手証券の2つの口座を合算した結果は次の通りでした。
| 区分 | 合計金額 |
|---|---|
| 譲渡損益合計 | +1,844円 |
| 配当所得合計 | +342,224円 |
| 源泉徴収税額合計 | 69,515円 |
どちらも利益のため、特定口座内で損益通算しても還付はありません。
ここまでは「源泉徴収あり特定口座」で完結しています。
A総合課税を選んだら
ここで大事なのは、総合課税にできるのは配当所得のみという点です。
| 区分 | 課税方式 | 選択可否 |
|---|---|---|
| 配当所得 | 総合課税 or 分離課税 | 選択できる |
| 譲渡所得(株・投信の売却益) | 分離課税のみ | 変更できない |
つまり、配当は「総合課税」に切り替えることで還付が受けられますが、
譲渡益は「分離課税」で完結しているため変更はできません。
B還付の目安(ざっくり試算)
源泉徴収された税金(配当分)は
63,916円+5,540円=69,456円。
これを総合課税にして控除を適用すると、課税所得は次のようになります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 配当所得 | 342,224円 |
| 基礎控除 | ▲480,000円 |
| iDeCo掛金控除 | ▲276,000円(月23,000円×12ヶ月) |
| 課税所得合計 | 0円 |
課税所得がゼロになるため、所得税も住民税もかかりません。
その結果、源泉徴収された約6.9万円のほぼ全額が還付される見込みです。
(わずかに端数調整や非課税限度の関係で差額が出る場合もあります)
C「譲渡益」は分離課税で還付なし(注意点)
ここで注意したいのは、譲渡益は総合課税にできないということです。
| 区分 | 税区分 | 還付の可能性 |
|---|---|---|
| 配当所得 | 総合課税(切替可能) | ◎ 還付あり |
| 譲渡益 | 分離課税(変更不可) | ✕ 還付なし |
今回の例では、譲渡益+1,844円・譲渡益税59円は、
すでに分離課税として課税が完結しているため、確定申告しても変わりません。
D配当控除はどう関わる?
「総合課税にすると配当控除がある」と聞いたことがある方も多いと思います。
ただし、配当控除は課税所得がある人の税額を減らす仕組みです。
今回のように、基礎控除とiDeCo控除で課税所得がゼロの場合は、
そもそも税金が発生しないため、配当控除は使いません。
つまり、
「配当控除は使えない」
= そもそも税金がかからない
= 結果的に最も有利な状態
です。
E扶養との関係にも注意
専業主婦が総合課税で配当を申告しても、次の範囲内であれば扶養のままです。
基礎控除+iDeCo控除の合計(約75万円)以内の所得金額
今回のケースでは、
配当342,224円 − 所得控除756,000円 = 課税所得0円
となるため、税制上も社会保険上も扶養の範囲内です。
安心して申告・還付を受けられます。
「今年の収入は?」と尋ねられた場合は、次のように答えるのが正確です。
「株や投資信託の配当などで、年間およそ34万円ほどです。
いずれも特定口座で源泉徴収されており、社会保険の扶養範囲内です。」
ポイントは、
収入は34万円ほど(実際に得た金額)
所得は0円(控除で課税されない)
という違いを説明できることです。
なお、還付金は“払いすぎた税金の戻り”なので収入ではありません。
Gまとめ
| 内容 | 結果 |
|---|---|
| 配当所得 | 総合課税に切替で還付あり(約6.9万円) |
| 譲渡益 | 分離課税のため還付なし |
| 配当控除 | 課税所得ゼロのため実質適用なし |
| 扶養への影響 | なし(所得控除範囲内) |
総合課税 × 所得控除(基礎+iDeCo)= 課税所得0
→ 源泉徴収された税金の大部分が還付される
✍️次回予告
シリーズBでは、
「含み益がある投資信託を年内に売ると損?損益通算と還付の関係を実例で解説」
をお届けします。
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